不妊症?まずは卵管造影・卵巣年齢・精液検査!
もしかして不妊症?
避妊はしてないのに?タイミングは合わせているのに?
妊娠しないな・・・これって、もしかして不妊症?
そんな時はまずは
・子宮卵管造影
・抗ミュラー管ホルモン(卵巣年齢)
・精液検査
を調べましょう。
子宮卵管造影検査
妊娠をするためには卵管が通っていなければ妊娠には至りません。タイミングや排卵誘発・人工授精をしても卵管の通過性が無ければ無効であり、時間の浪費にしかなりません。通過性がなければ手術による治療か、体外受精を行わなければ妊娠に至れません。よって当院ではまずは子宮卵管造検査で卵管の通過性を確認をすることを勧めています。
通水検査等もありますが、通水検査では卵管留水症が見落とされたり、卵管の周囲の癒着の診断ができません。卵管留水症は体外受精の妊娠率を低下させます。また、油性造影剤による卵管造影検査では、検査後の妊娠率上昇も認められており、診断と妊娠率アップで良いこと2倍です。
[卵管造影検査は痛い!?]
と皆さんかなり心配されていますが、最近は器材もソフトになり、また当院では機械による自動注入ではなく、手動で患者様の状況を確認しながらゆっくり注入するのでほとんどの方は痛みがない、もしくは軽い生理痛程度で終わります。画像で確認しながら最小限の量で行うので、通水検査よりも痛みは少ないです。
デメリットとしてはX線検査であるため、少量の被ばく(CT検査とうに比べてはるかに少ない線量です)と重症の喘息がある方、ヨードアレルギーのある方、甲状腺機能異常無治療の方(治療でコントロールされていれば水溶性造影剤で検査は可能です)は検査ができない場合があります。
通水検査じゃだめですか?
通水検査がいけないとゆうわけではありませんが、卵管造影の方が画像的に得られる情報は多く、
また
通水検査に比べ、油性造影剤を使用して卵管造影検査を行った場合、その後の妊娠率が29~55%増加する(2015 Cochrane L)ことも言われています。
次に卵管造影をしていたらと思う症例を示します。
下の症例は34歳の妊娠経験なし
クラミジア抗原検査陰性、
通水検査検査にて抵抗なし、通過性ありと診断され
タイミング療法 5周期 人工授精 4周期 しても妊娠に至らず体外受精目的にて当院紹介受診された患者様です。
当院でのクラミジア抗体検査ではIgG(+) IgA(+)を確認し、クラミジア治療を行い油性造影剤にて卵管造影を行った結果です。
一見卵管通過性があるように見えますが卵管采(卵管の末端)に貯留所見を認め、腹腔内に流出していません。
翌日の残像撮影では
両側の卵管采における貯留所見は移動せずそのまま残留している所見を認め、卵管留水症の診断になりました。この場合おそらくは通水検査や超音波造影剤による検査では診断ができなかったと思われます。
これではタイミング療法や人工授精では妊娠はほぼ不可能であり、体外受精もしくは手術的な対応が必要となります。
はじめの段階で卵管造影をしていればもっと早い段階から体外受精となれた可能性があります。
卵管留水症は内容液が子宮内に悪影響を及ぼすため、体外受精の移植においても妊娠率を下げてしまいます。卵管内液体貯留が認められた場合は移植時に穿刺吸引を要したり、腹腔鏡手術により卵管采形成術をしたしますが、再発も認めることがも多く、多くは卵管摘出を必要としたりします。
今回の症例も体外受精を行い、移植時卵管内用液吸引を行い移植を行い妊娠となりましたが、残念ながらこの時は分娩には至れませんでした。その後両側卵管切除を行い、再度凍結融解胚盤胞移植を行い、無事妊娠・分娩に至り、さらに2人目も凍結融解胚移植にて分娩に至っております。
後に目標生児数を得て凍結胚の廃棄目的にて受診され、その時生まれた二人のお子さんもご一緒に来院され感慨深い思いをさせて頂きました。
結論:通水より卵管造影の方がよい
そう信じて当院では子宮卵管造影は治療的意味も含めて可能な限り必須検査として行っています。 (by 院長)