城南レディスクリニック品川 | 不妊治療・卵子凍結・卵管造影

当院の実績

当院では原則受精卵は胚盤胞まで培養し、全胚凍結保存とし後日別周期にて解凍移植を行っています(全胚凍結保存)。

2021年日本産婦人科学会編集のオンライン登録による全国の体外受精における妊娠率を示します。

この統計より、新鮮胚移植や凍結融解胚移植は年齢の上昇に伴いいずれも妊娠率は下がります。しかしその中でも凍結融解胚盤胞移植は最も高い妊娠率を示しています。これらのことを踏まえて当院では特別な理由がない限り全胚凍結保存としています。

現在2023年の移植まではすでに分娩までの結果が出ているので以下に2023年における当院の融解胚盤胞移植の成績を示します。

妊娠反応陽性率:移植して血液検査(血中HCG濃度)にて妊娠と判定できた割合(%)
臨床的妊娠率(胎嚢確認率):妊娠5週以降で超音波検査にて子宮内に胎嚢を確認した割合(%)
生産率:移植して分娩にまで至った割合(%)
として表記しました。




全年齢を合わせた移植当たりの妊娠反応陽性率 は55.6%、胎嚢確認率(臨床的妊娠率)42.5%、生産率34.2%(いずれもPGT-A症例含まず)でありました。以下に移植年齢の分布示します。

当院では36~38歳が症例数が多い結果となっています。29歳以下と45歳以上は症例も少なく各年度における結果のばらつきも大きくなります。

日本産科婦人科学会に登録されている体外受精の全国統計は2022年の統計結果が最新なので、当院の2023年の生産率と比較すると

当院における一回の移植当たりの生産率は全国統計より3割以上高い結果となっています。

2024年度の成績はまだ分娩結果の登録が完了していないため比較はできませんが、2024年の後半より移植前の子宮内フローラ検査等を積極的に行ったことにより

2023年と比較して2024年の妊娠反応陽性率と臨床的妊娠率は特に30代前半の症例においてさらに上昇していました。2024年の生産率のさらなる上昇も期待されるところです。

移植胚は、胚の見た目(グレード)が良くても必ずしも染色体的に正常ではありません。また見た目のグレードが低くても染色体的には正常であったりもします。年齢が上がるほど良いグレードの胚であっても染色体異常率は高くなります(43歳以上のグレードAA胚における正倍数性(正常)の確率は15-20%前後)。染色体不良胚を移植した場合は妊娠しなかったり、妊娠反応が陽性となっても胎嚢が見えなかったり(化学的妊娠)、胎児確認ができても流産となったりします
PGT-A(着床前染色体異数性検査)でルーチンに染色体検査がまだできない現状においては、ある程度の不成功や流産は避けられないのが現状です。


治療としては生児を獲得すること目的としていますので最も重要な指標は生産率であると言えます。しかしまずは着床させることが重要になります。
着床をすると受精卵の栄養外胚葉【のちの絨毛となる細胞)が子宮内膜に浸潤し、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を分泌します。HCGが陽性になったということは移植した胚が着床にまでは至ったことの証明になります。

移植当たりの妊娠反応陽性率が高いという事は、その施設の移植手技やプロトコールの確かさを表していると考えられ、正常染色体胚が移植された場合に取りこぼしなく妊娠・分娩につなげるうえで重要な指標と考えています。

また良好胚の獲得率を上げるためには、多くの卵子を得ることも重要になります。
採卵数が多ければそれだけ獲得する受精卵も多くなり、良好胚獲得の可能性も高くなります

ゆえに当院では調節卵巣刺激によりできるだけ多くの卵子を獲得し、一回の採卵における生産性を高め、可能であれば一回の採卵で2人目、3人目の生児を獲得ができるよう願って治療を行っています。
(院長より)