城南レディースクリニック品川

不妊症の原因

原因

妊娠が成立するための条件は多岐にわたり、その条件が一つでも達成できなければ妊娠成立は叶わないこととなります。原因は女性側にある場合もあれば男性側に、またはその両方、あるいは検査をしても原因不明という事もあります。

  • 排卵因子

    • 黄体機能不全
    • 多嚢胞性卵巣症候群
    • 高プロラクチン血症
    • 甲状腺疾患
    • 早発卵巣不全
  • 卵管因子

    • クラミジア感染症
    • 卵管留水症
    • 卵管閉塞
    • 卵管采癒着
  • 子宮因子

    • 子宮筋腫
    • 子宮内膜ポリープ
    • 子宮腺筋症
    • 子宮奇形
  • 腹膜因子

    • 子宮内膜症
    • 腹腔内病変
  • 男性因子

    • 造精機能障害
    • 精路通過障害
    • 性機能障害
    • 射精障害

女性側の原因

女性は月経を終えると排卵に向けて子宮内膜を肥厚し、卵巣内にある卵子が発育してその卵子が排卵・受精・着床という順を辿ります。その中で一つでも不具合があると妊娠成立は難しいものとなってしまいます。

女性側の主な原因としては、排卵因子・卵管因子・子宮因子・腹膜因子などがあります。

排卵因子

排卵因子は排卵障害とも言い、排卵するまでの過程に異常が起きることで、卵巣内で正常に卵子が発育しなかったり、卵子が正常に排卵されなかったりします。正常な排卵の場合、基礎体温が二相性となります(低温期と高温期)。排卵を機に基礎体温は低温期から高温期へとなります。排卵していない場合、基礎体温が二相性になりません。こういった場合は血液検査などで卵巣機能が正常かどうかを検査します。

卵管因子

卵管因子はクラミジア感染症による卵管閉塞や卵管采癒着、卵管留水症などがあります。卵管には排卵された卵子を取り込むグローブのような形状の卵管采があります。卵管采から取り込まれた卵子は卵管を転がるように移動して卵管膨大部で精子と出会い受精します。その後、受精卵は子宮へと移動して着床します。卵管は卵子を取り込み・受精・移動するという役割があり非常に重要です。その卵管内で異常を来すと自然妊娠は難しいものとなってしまいます。

子宮因子

子宮因子には子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症、子宮奇形などの子宮に物理的な障害があり受精卵が着床しにくい状態にしてしまったり、炎症が惹起されることで子宮内環境のバランスが崩れてしまうものがあります。また、卵管留水症のように卵管に貯留した炎症性の浸出液が子宮へ流出し子宮腔内を汚染することで、受精卵に影響を及ぼしたり着床の妨げとなってしまうものもあります。

腹膜因子

腹膜因子は子宮内膜症があり、子宮内膜の組織が他の臓器で発生し増殖していきます。通常の月経では肥厚した子宮内膜が剥がれ出血し体外へ排出されますが、子宮内膜症では発生する場所にもよりますが出血した際、排出場所が腹腔内であるとそのまま貯留したり周囲の臓器と癒着してしまうことがあります。卵管に子宮内膜症が発生すると卵管閉塞の原因となってしまうことがあります。

男性側の原因

一方、男性側の主な原因としては、造精機能障害、精路通過障害、性機能障害・射精障害などがあります。
不妊原因の男女比は女性41%、男性24%、男女両方24%で男性は全体の48%を占めている事になります。

造精機能障害

造精機能障害とは精巣内で何らかの障害が起きることで精子が正常に造られないことです。精索静脈瘤は精巣からの静脈が逆流し、精巣内の温度が上昇することで造精機能に影響を与えますが、手術療法により精液所見が改善することも見込めます。また、薬剤の影響や精巣への放射線照射によっても造精機能が障害されることがあります。
男性不妊の約8割はこの造精機能障害によるものです。

精路通過障害

精路通過障害は精巣で造られた精子が精管を通過することができない状態のことです。精巣上体は精巣に密着している臓器(組織)で、精巣で造られた精子が成熟する場でもあります。細菌感染により精巣上体炎となり、その後遺症として精巣上体の中の管が閉塞する場合があります。また鼠径ヘルニア術後などで精管が閉塞している場合があります。

性機能障害

性機能障害の大半は心因性によって起こるものですが、身体的な要因によっても起こる事もあります。逆行性射精は射精した時、閉じているはずの膀胱の一部が開いたままになり膀胱内へ排出されてしまうものです。薬物療法で改善する場合もあります。

原因不明の場合

一般的な不妊検査を一通り行っても特に異常は認められない原因不明な状態を機能性不妊症と言います。
しかし原因がないということではなく、現代の医療では原因を見つけられないということです。
当院ではスクリーニング検査を行い、特に異常を認めなければタイミング療法からのスタートとなりますが患者様のご希望に合わせたステップアップも可能です。