不妊症のスクリーニング検査
月経周期にあわせて行う検査
月経期の検査
下垂体負荷検査:排卵障害や月経異常の患者様に対して、注射で下垂体を刺激して血中のFSHやLH、プロラクチンの反応を見る検査。
月経終了から排卵までに行う検査
卵巣超音波検査
卵巣の中の卵子の周りに水(卵胞液)がたまり卵胞を形成します。
この卵胞が20㎜以上になってくると下垂体からの黄体化ホルモン(LH)の作用で排卵します。
排卵期の検査
粘稠性の低下 :サラサラした感じになる。
牽糸性の増加 :糸を引くように伸びるようになる。
このような状態の頸管粘液中では精子が泳ぎやすくなり
腟→子宮→卵管へと精子が上りやすなります。
頸管粘液量と性状は排卵や性交時期の目安にもなります。
性交後、その中の精子を顕微鏡で確認するのが性交後検査(フーナーテスト)です。
黄体期検査
子宮内膜日付診:子宮内膜が黄体ホルモン(プロゲステロン)により着床に必要な変化をしているか、子宮内膜組織をとって調べます。
基礎体温(BBT)について
排卵をすると排卵後の卵胞が黄体(実際に黄色くなります)に変化して黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。これが子宮内膜の着床の準備をするとともに、体温中枢に作用して体温を上昇させます。
睡眠中に体温は徐々に低下していきやがて安定します。目が覚めて活動が開始すると体温も上昇していくので基礎体温は目覚めてすぐ、起きる前の状態で測ります。
基礎体温は睡眠不足や飲酒、風邪なども影響します。またいつもより起床が遅いと体内時計ですでに体は目覚め始めているので高くなります。
時々いろいろな要因で体温がいきなり高くなったり、低くなったりして心配される患者様も多くおられますが、基礎体温は全体の流れで見ていますので、多少のばらつきは気にしないでよいと思っています。
また低温相の体温も若干人により違いがあります。極端な例では検査を要しますが、36.0~36.7℃くらいまではあまり心配ありません。
一般に低温相の体温より0.3℃以上上昇していれば高温期としています。
基礎体温をつけていることのメリット
・ 自分の排卵のパターンがわかりやすい。
・ 多少の月経不順があっても妊娠の早期に気づきやすい。
・ 排卵が終わっている?待っていれば月経が来るのか?などの判断に役に立つ。
・ 治療計画が立てやすくなる。etc.
これは月経周期が長い症例の基礎体温です。
通常月経周期28日型の人の排卵日は月経14日目あたりが多いのですが、この方は月経21日目で排卵しています。その後、通常高温期は14日間続き、妊娠していなければ月経になりますが、高温期14日目過ぎても月経がなく高温期22日目に少量出血を認めました。しかし高温期が継続しているため妊娠反応行い妊娠反応陽性を認めました。
最終月経からの計算では妊娠6週1日となり、経腟超音波では胎児心拍動が見えるころになっているはずですが、性交日と基礎体温から推定される排卵日(受精日)からは妊娠判定日が妊娠5週1日(排卵日を2週0日とします)ということがわかり、経腟超音波検査ではまだ小さな胎嚢が子宮の中に確認されればよいことになります。
正確な妊娠週数の診断は過剰な流産への不安や誤診を防ぐことにもつながります。
このように基礎体温表は便利でありますが、時に日々の測定が過度なストレスとなる方もあり、その様な場合には無理につけることは勧めないようにしています。