GnRH アゴニスト法
GnRHアゴニストは鼻腔へのスプレーにより使用し、自力での排卵を抑制します。これにより採卵前の予期せぬ排卵や、黄体化を防ぎます。しかし排卵誘発剤の連日注射による卵巣刺激が必要となります。使用する時期や期間により下記の2法に分類されます。
ロング法(long protocol)
採卵周期の前周期の黄体期7日目(黄体期中期)からGnRH アゴニスト(スプレキュア、ブセレキュア etc.)を連日(1日3回)で採卵直前まで使用します。 複数個の卵胞発育があっても早期排卵の抑制が可能でありもっともスタンダードな方法です。月経の3~5日より卵胞刺激ホルモン(FSH or HMG)を連日皮下注もしくは筋注を行い、10個前後の卵胞の成熟を期待します。しかし排卵誘発の最後にHCGの投与が必要となり、後術の卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を併発する可能性が高くなります。
ショート法(short protocol)
月経開始日もしくは2日目よりGnRHアゴニストを使用する方法で、ロング法と同様に採卵直前まで使用します。GnRHアナログ開始直後は下垂体からの卵巣刺激ホルモン(FSH)が反応的に一時的上昇(flare up)することを利用して、卵巣刺激への反応が低い症例に対して選択することがあります。投与期間が短くコスト的に安くなりますが、ロング法と比較して妊娠率が下がるとする報告もあり、症例により検討を要します。採卵に際してはロング法と同様にHCG投与が必要となり、OHSSの回避する方法とはなりません。